透明な彼女

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「っ……」 私は激しい頭痛と伴に目を覚ました。 気付けば辺りはもう暗く、亮太の学生鞄があるので、学校から帰ってきている時間帯だった。 起き上がり、異常なまでの頭痛に、眉間にシワを寄せる。 そして意味不明な焦燥感。何を焦っているんだ私は。考えれば考えるほど、頭は激しく痛む。 「あ、結衣起きたのか」 するとそのタイミングで亮太が部屋に入ってきた。私は痛みに歪んだ顔で振り向く。 「どうかしたのか?」 すぐさま異変に気付いた亮太が、私の傍へ駆け寄ってきた。 「頭が凄く痛いの。私、何か重大なこと忘れてる気がするんだ」 思っていたこと、感じたこと、有りのままに伝える。その度に亮太の顔はどんどん険しくなっていった。
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