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次の日も、私は公園にいた。
お母さんとお父さんとお婆ちゃんは、昼過ぎに出かけて、夕方まで帰ってこない私を不思議がっていた。
質問されたけど、彼のことは言えなくて、散歩に夢中になったと嘘をついた。
どう考えても無理がある嘘なので、怪しまれただろうけど、誰も問い詰めようとはしなかった。
ただ、お婆ちゃんの寂しそうな顔が気掛かり。
折角遊びにきたのに、あまり相手をしてあげられなくてごめん。
私は心の中で謝罪した。完璧に、私の中で優先なのは彼だった。
「いつまでこっちにいるの?」
だいぶ自然に会話できるようになった私たち。彼が唐突に聞いてきた。
そういえば……。
私はすっかりこの土地の人間ではないことを忘れていた。いつまでも彼と過ごせるわけではないのだ。
それが分かった途端、胸が痛くなる。
「あと、2日……」
タイムリミットは意外にも、すぐそばまで迫っていると実感する。
「2日か」
そう言った彼の表情を見たかったが、逆光でよく見えなかった。
少しでも寂しいと思ってくれるかな。
「じゃあさ、あと2日、この公園で毎日話そうよ」
その提案に、私は目を輝かせ胸を踊らせた。
彼が、私に毎日会いたいと思ってくれている。そんな風に都合良く解釈してはいけないかもしれないけど、そう思わずにはいられなかった。
「うん!」
彼の言葉一つで、沈んだ気分もあっという間に晴れる。
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