透明な彼女

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10時過ぎくらいになり、支度を終えた私たちは、ついにデートへ出発することにした。 久しぶりの外の世界に、まるで遠足に行く子供のように、胸を弾ませていた。 亮太と手を繋ぎ、部屋を出て玄関に向かっていると、偶然にも亮太のお母さんと遭遇してしまった。 「お、おはようございます」 ぎこちなく挨拶をしてみるものの、やっぱり無視されてしまった。亮太を見ると暗い面持ち。 「亮太出掛けるの?」 私のことは冷たく無視しておきながら、当たり前だけど亮太にはとても優しく聞いていた。 「あー……うん」 「そう。気をつけてね」 何なんだろう、この胸騒ぎ。 私は亮太とお母さんの会話を聞きながら、妙な不安感に襲われていた。
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