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亮太が見上げるものをつられて見る。そこには変哲のない一軒家。これは……
「私の家?」
そう聞くと、黙って頷いた。
デートに行くんじゃなかったの?どうして私の家?
疑問ばかりが溢れて、何から聞けばいいのかも分からない。しかも頭痛は酷さを増し、今すぐこの場から立ち去りたくて仕方なかった。
「ここに、結衣が忘れているものがあるんだよ」
忘れているもの?
亮太はインターホンを押した。
数秒後、バタバタと足音が近付いてきて玄関が開く。そこには久しぶりに再会する母さんが立っていた。
「亮太君?どうしたの?」
亮太を見ながら目を丸くする。
あれ?私に気付いていないのかな。母さんの瞳は亮太をはっきり捉えているのに、私を映し出すことはなかった。
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