透明な彼女

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亮太の涙を拭おうと、そっと手を伸ばした。 「あれ……」 頬に触れたいのに、触れられない。透き通って、大好きな亮太を抱きしめることもできない。 「もう逝かなきゃね」 改めて自分が幽霊だということを自覚し、終わりが近付いていることに気が付いた。 笑顔で言ったつもりだったのに、知らない間に涙が頬をつたっていた。 「結衣、何で俺を置いていくんだよ!」 一生懸命私の手を掴もうと、何度も空を切る亮太の手。私も涙が止まらない。離れたくない。一生一緒にいたいよ。 「亮太笑って?」 「え?」 私の最後のお願い。 わがままかもしれないけど、聞いてほしい。
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