笑顔

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「はぁっ」 教室に入り席についた途端、俺の口から出たのはため息だった。それを運悪く、前の席の優に聞かれてしまう。 「朝っぱらからため息ってどうした?珍しいなぁ」 くすくすというより、にやにやといった感じで笑う優を睨む。ただでさえ紗耶香のことでいらついているのに、追い討ちをかけないでほしい。 「うっせぇよ」 「怖ぇよ。まじでなんかあった?」 今度は本気で心配してくれている様子。だけどこいつに話していいものか悩んだ。 「あのさ、最近紗耶香に変わったことなかった?」 取り敢えず泣いていた理由を探ろうと、遠回しに尋ねてみる。優は「なんで?」と当たり前の返事を返してきたから、「いいから答えろ」って脅した。 命令口調になってしまうのは、昔からの悪い癖なのかもしれない。 優は唸りながら何か考えている様子。そして恐る恐る口にした。
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