恋のかけら

笑顔

「別に変わったことじゃねぇけど、最近彼氏できたって聞いたけど」

彼氏？

俺は初耳だった。今までだって紗耶香に彼氏ができたことはあったけど、いつも嬉しそうにあいつが話しに来ていた。

だけど今回はそんなこと一言も聞いていない。

「噂だけど、３組の高梨と付き合ってるらしいよ」

噂なら信用はできないけど、今のところ情報はそれくらいしか手に入らなかった。

「高梨ってどんな奴？」

「知らない？よく喧嘩して停学とかくらう奴。この前体育館のガラス割れた事件あったじゃん。あれ高梨とその他数名が乱闘してたらしいぜ」

「へぇー……」

俺はそれを聞いてこの情報は嘘だと確信していた。

理由は簡単。紗耶香は喧嘩や暴力、礼儀がなっていない奴などが大嫌いなのだ。

そんな不良で紗耶香が大嫌いなタイプの高梨が、付き合ってるわけねぇよ。

「つか何でそんなの調べてんの？ついに幼なじみが恋愛対象に入っちゃった？」

優が嬉しそうにそんなことを言い出したので、思い切りげんこつをくらわせた。