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「雅人君……いる!?」
大声でその女子が叫ぶ。俺はまさか自分が呼ばれるとは思っていなかったので、返事もせずにフリーズしてしまっていた。
するとクラスの誰かが「あそこにいるけど」と俺を指差す。それで我に返り、クラス中の注目を浴びながら立ち上がった。
「なに?」
「ちょっと来て!」
彼女は俺の質問に答えることなく、凄い剣幕で廊下へと連れ出した。クラスの奴らの視線から逃れることができて良かったのだけど。
「なんだよいきなり」
「紗耶香を助けて」
彼女はさっきまでの強い態度とは打って変わり、泣きそうな顔で俺に懇願してきた。紗耶香の名前が出たことと、泣きそうな女に戸惑って言葉が出ない。
「私は紗耶香の友達なんだけど……」
それで見覚えがあったのか。確かにいつも一緒にいる奴だ。
「お願い!後で説明するから取り敢えずついてきて!紗耶香を助けて」
俺は何が何だかよく分からなかったが、この女があまりにも真剣な顔で言うので従うことにした。
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