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紗耶香が出て行った後、俺は気づかれないように後をつけていた。やっぱり、また暴力を振るわれていたら助けないわけにはいかない。
焦った表情を見せる紗耶香は、物凄いスピードで駆けていた。何か緊急事態でも起きたのだろうか。
運動神経のいい紗耶香に、置いていかれないよう俺も全力疾走する。
たどり着いた場所には、高梨……と学校の先輩方数名が立っていた。高梨は多数の先輩に囲まれている。
この状況を見ればなんとなく予想はついた。
高梨は後輩の分際でよく先輩にも喧嘩を売るし、問題もよく起こす、そういったことから先輩から嫌われていてもおかしくないのだ。
だから紗耶香は焦っていたのか。
納得したのと同時に、先輩からの高梨に対する暴挙が始まった。1人の高梨だが、中々頑張って戦っている。
しかし、やはり1対多数では不利だった。高梨は酷いようにやられている。助けに行こうか迷っている時だった。
「高梨君!」
紗耶香がそう叫んだ。
俺よりも先に、あんな乱闘の現場へか細い体で向かっていったのだ。
それから俺の目の前で、想像を絶する光景が繰り広げられる。
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