愛さなくていいよ

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そして奇妙な私たちの関係が始まる。 「綾乃、お茶」 「はい!」 「タオル」 「どうぞ!」 友達からは絶対服従だね。と呆れ顔で言われてしまった。それでもいいの。先輩の彼女でいられるだけで。 「先輩……あのね、お願いが」 「俺になにも求めんなって、言わなかったっけ?」 冷たい返事。ただ、友達のデートの話を聞いて、してみたかっただけ。分かってた。断られることぐらい。 「だよね。ごめんね」 無理してつくった笑顔で、遊馬先輩から目を逸らす。ボール磨きに集中して、胸の傷なんて忘れてしまえ。 冷たくされたって、メールが返ってこなくったって、命令されたって、遊馬先輩が好き。 私の片想いは現在進行形。
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