ゆっくり。

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明日卒業となり、1分1秒を大切に過ごしていきたいと思う中、時間は無常にも速く過ぎていった。 放課後になり、美香と泉君が私たちの教室にやってきて、一緒に帰ろうと話になる。 すると泉君が言った。 「悪い。俺、こいつに話しあるから先帰って」 「え?」 そんな話全く聞いていないのに、いきなり指名された私は首を傾げた。 美香と啓介君は嬉しそうに「了解!」と声を揃えて言うと、仲良く手を繋いで校舎を後にしていった。 訳も分からぬまま、泉君に連れられて、やっぱりやってきたのは裏庭。何か話しがあるときは、決まってここだった。 「ここで、泣いてるお前と会って、そこから一緒にいるようになったんだよな」 ふと、遠い日を見つめるような目で言う泉君。私もつられて、泣いている私に泉君がキスをした日のことを思い出した。 懐かしい気持ちに、ほんのり切ない気持ちがいり混ざる。
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