愛さなくていいよ

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付き合ってから8ヶ月。 自分でもよく続いたと思う。先輩は3年生なので部活を引退。もう会う機会も少なくなった。 学校で何か命令される時に、顔をちらっとあわせるくらい。 寂しくて、本当に死にそう。 だから先輩をメールで呼び出した。記念すべき二人の8ヶ月記念日。どうしても一緒にいたかった。 「なんだよ」 「今日何の日か分かる?」 自分でもどうしてこんなことを聞いてしまったのか分からない。胸の中でなにかに賭けていた。 「知るかよ」 重大な日だったのに。ショックで仕方なかった私の口から出たのは、意外な言葉だった。 もしかしたらこれが本音だったのだろうか。 「遊馬先輩……別れて下さい」 クールで無愛想な先輩の表情が一瞬だけ強張る。きっと私が別れを切り出すなんて思っていなかったのだろう。 だけどすぐに余裕な顔に戻った。 「別にいいよ」
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