愛さなくていいよ

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知らない。聞いてない。 先輩が病気だったなんて。 制服のまま、病院へ駆け出した。タクシーを使えば早いのに、頭が回らずローファーでひたすら走る。 自分がここまで速く走れるのかと、驚くくらいのスピードを出した。 病院につき、先輩の病室の前で深呼吸をする。私なんかがきたら、怒られるかな。機嫌が悪くなっちゃうかも。 でも会わずにはいられない。 ゆっくり病室のドアを開けた。 白いカーテンにベッド。その中で眠る先輩。周りでとめどない涙を流す人々。 どうして? 私は一歩遅かったのだ。 この日、先輩は帰らぬ人となった。
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