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ふと鞄の中の手紙を思い出す。
読んでみようか。何が書かれているんだろう。もしかしたら、また冷たいことかもしれない。
私は白い封筒静かに手にとった。
綾乃へ
この手紙をこの世で1番愛した綾乃に捧ぐ。
綾乃に告白された時、正直どうでも良かった。ただ、女が寄ってこなくなればいいかな、程度の気持ちだ。最低だったと思う。
だけどお前は、そんな俺でも一途に好きでいてくれた。冷たい条件や、態度、命令も笑顔で引き受けた。
そんなお前に、俺はいつのまにか惹かれた。
だけどそのすぐあと、自分が病気だって知った。苦しくて、こんなにもお前が好きなのに、一生側にはいてやれないんだ。
情けなくて、こんな俺からお前を解放してあげたくて冷たい態度を取った。
だけど自分から別れようなんて言えなかった。解放したいとは思っていても、やっぱり誰かになんて渡したくない。矛盾でいらいらした。
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