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「せーんぱい!」
可愛らしい笑顔を浮かべ、私の後ろを子犬のようについてくるのは、高校1年、前田淳士。
通称、後輩くん。
2歳年下の彼は、入学してからすぐに、私がマネージャーを勤める野球部へと入部してきた。
それが2人の出会い。
後輩くんはくりくりしたぱっちり二重の目に、男の子にしては少し致命的な低い背。
下手すればそこらへんの女の子よりも可愛かった。
もちろん先輩の私たちからは大層可愛がられ、同い年の子たちもみんな彼を愛らしい目で見た。
私は……というと、年下には全く興味なし。部活でも話し掛けられなければ会話することもないし、関わりたいとも思わなかった。
なのに、こうして懐かれてしまっているのは、きっとあの日にあんなことを私が言ってしまったからだと思う。
それは2ヶ月程前に遡る。
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