後輩くん

12/14
前へ
/304ページ
次へ
いつからこうなった? ……後輩くんが私を見てくれなくなってからだ。 いつも近くにいるのが当たり前で、可愛い笑顔で「先輩」って呼ぶ。後輩くんが私の側にいなくなってから、こんなに悲しいんだ。 「分かった。分かったよ」 「やっと気づいた?」 「うん。ありがと優子」 「どういたしまして」 にっこりと笑って、私の気持ちに気付かせてくれた優子。進むべき道を照らしてくれた彼女に感謝して、私は教室を飛び出していた。 向かう場所はたったひとつ。 彼がいる教室。 年下だからとか、教室の階が違う、スリッパの色が違う、呼び方が「先輩」と「後輩くん」だとか…… そんなの関係ない。 この気持ちが確かなら、なんの問題もないはず。 「後輩くん!」
/304ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1866人が本棚に入れています
本棚に追加