さよなら

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幸せな気分で家に帰った私は、携帯の着信音を聞いてディスプレイを見る。 大好きな「裕一」の文字が浮かんでいた。 さっき別れたばっかりなのに、もう私が恋しくなったのかな、とか幸せな妄想をして電話に出た。 だけど、その電話は私の妄想とは裏腹に、酷い現実を叩きつけた。 『百合ちゃん!裕一がっ、裕一がぁっ』 裕一のお母さんの、悲鳴にも近い泣き声。言われたことが理解できない私は、携帯を片手に固まっていた。 『裕一が車に跳ねられて、死んだ』 嘘だ。 さっき笑顔でばいばいしたばっかり。あの笑顔が、もう二度と見れないなんて嘘だ。 誰か、嘘だと言って下さい。
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