さよなら

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「百合、翔とデートするんだって?」 翔がもう花に相談したようで、約束の数時間後にそう聞かれた。頷くと、なぜか彼女が嬉しそうな顔をした。 意味がわからない。 「やっと前に進めるかもね」 花の言葉がひっかかる。 前にってどういうこと。進めるってなに。 「それ、どういう意味?」 物凄く低い声が出た。 花も驚いた顔で私を見て、怒りの念に気付いた様子で焦っている。「えっと」と言葉を詰まらせるところがまた、私に不快感を与えた。 「私は前になんか進まない!裕一が止まってるなら、私も止まる!ずっと一緒って約束したの。今も私の彼氏は裕一よ!可哀相な目で見ないで!」 息を切らしながら、我慢していたことをぶちまけた。 それを聞いた花の目には、静かに涙が溜まっていった。
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