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スッキリしたけれど、心の中を埋め尽くす罪悪感。悲しそうな花の瞳から目をそらし、私は逃げた。
分かっている。
私のことを心配してくれていることは。だけど、たまにそれが私の重荷になるんだ。
それから日曜まで、私が花と言葉を交わすことはなかった。
翔とデートの約束をした日曜になり、そそくさと支度をする。普段通りの格好で家を出ると、「よう」と笑顔の翔が立っていた。
私服を見ると、なんだかいつもと雰囲気が違う。制服じゃない翔って、変な感じがした。
「どこ行きたい?」
そう聞かれたが、特に行きたいところもない。
「どこでも」
もし相手が裕一だったら、絶対言わないような冷たい返事。翔はそれを聞くと、困ったような笑みを浮かべた。
花といい翔といい、私はどれだけの人を傷つけるのだろう。
だけど、それでもいい。
裕一さえ側にいてくれれば。
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