出逢い‡であい

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「……お願い」  祈るようなそのつぶやきと、笑顔の消えた真剣な表情。  とても冗談には見えなくて――。  差し伸べられたままの手を取ることなく、俺は立ち上がった。 「いいよ、どうせ暇だし」 「……」 少女は俺との間に取り残された手を、さっと隠すように後ろに組む。  照れ笑いのような笑顔で、こちらを見上げて言った。 「ありがとう!」  
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