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昔々の大昔。
それはまだ海の水が塩っぱくなかった頃のお話です。
サファイアの海は今日も綺麗に澄んでいて、銀灰色(ぎんいろ)の魚達が水面(みなも)を揺らす度、太陽の光がキラキラと舞っています。
そんな海の底には、上半身が人間で下半身が魚の、人魚と呼ばれる水魔が暮らしていました。
人魚達にもそれを治める王が居て、人魚の世界の法律を決めたり平和を保ったりしていました。
王様には三人の美しい娘がいて、それぞれ上から、スィアメル、ヒーニィ、カルファナと言う名前でした。
スィアメルは、まるで夜空に燦然と輝く星の光のような美しい銀髪の持ち主で、踊りがとても上手でした。
ヒーニィは、闇にも溶けないような艶やかな黒髪の持ち主で、楽器がとても上手でした。
カルファナは、柔らかな陽の光をそのまま糸にしたかのような華やかな金髪の持ち主で、歌がとても上手でした。
この三人の娘の内、上二人は明るく活発な性格だったので沢山の友達に恵まれていましたが、末っ子のカルファナだけは、内気で優しい性格だったので友達付き合いが些か下手でした。
―――これは、そんな末っ子のカルファナのお話です。
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