人魚の日常

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王家の人魚は、人間でいう16歳になると海の上に上がることを許されます。 カルファナは人間でいう18歳の娘でしたので、海の上に自由に上がることの出来る数少ない人魚の一人でした。 その日もカルファナは、誰も居ない砂浜の岩陰でひっそりと歌を歌っていました。 友達の少ないカルファナにとって、浜辺で歌うことはとても楽しみな事なのです。 「なんて気持ちの良い日なの。」 カルファナは思わず呟きました。 潮風は優しく髪を揺らし、陽の光は柔らかく海を包んでいます。 穏やかな海は空を映した深い蒼色で、白い波とのコントラストがなんとも言えない美しさです。 カルファナはすっかり嬉しくなって、夢中で歌を歌っていました。  ――――その時です。 ・
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