青年の憂鬱

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「それにしても、あの美しい声の持ち主は誰なのだろう・・・。」 カインは誰も居ない砂浜で呟きました。 静かな所で落ち着こうと思い、やって来た浜辺。 しかしそこには、この世のものとは思えない程美しい歌声が満ちていました。 すっと心にしみこんでゆく不思議なメロディー。 それを奏でる優しくも何処か物悲しい神秘的な歌声・・・。 それはカインのイライラした気持ちを鎮め、心の何処か空っぽだった場所をひたひたと満たしてくれました。 カインは、こんなに優しい気持ちになったのが酷く久しぶりの様な気がしました。 『あの声の持ち主に会ってみたい。』  カインの心の中はだんだんとその想いで一杯にっていきました。 「・・・・・・よし。」 カインは決心すると、自分の城へと足早に帰って行きました。 _
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