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少し派手さは感じられたが、親しみやすいと言えない事も無い。何処から見ても、少しとうの立った一般的なセールスレディだ。
――もう少し頑張るかな。
早紀は手の甲で汗を拭った。気合いを入れなおし隣家へ向かう。
そこは沢田邸の駐車場と庭を挟み、少し離れた場所に建っていた。
先ほど訪ねたどっしりした洋風の沢田邸とは打って変り、今時の和風建築だ。
建売り住宅にありがちなカラフルなスレート屋根と明るい壁材が、若い住民を連想させた。
ピンポーン。
インターフォンを鳴らす。暫く待つと、上品そうな奥様の声が答えた。
早紀が踏んだ通りの、張りのある若い女の声だった。
「はい、柿崎です」
早紀は起動しているだろうカメラに向かい微笑む。
「こんにちは、わたくしサイファ生命の上原と申します。今日はこちらの……」
前口上も終らぬうちに、上品そうな奥様は豹変する。
「要りません、結構です!」
ブツっと音を立てて切られたインターフォンに向かって、早紀は笑み続けた。
「また参りまぁす」
先ほどの手帳を取り出し、メモする。
『九月×日14:05 柿崎邸 奥様在宅』
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