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ペット
俺は中学二年のある日、
UFOにさらわれた!
檻に閉じ込められた俺に、
宇宙人はこう話し掛けた。
「我がボナンザ星では今、地球人をさらって飼うのが大ブームなんだ!
これで私も女にモテる!わははは!」
「畜生そんな理由でさらいやって!
地球に帰しやがれ!」
「まあまあ、この餌でも食って落ち着くんだ。」
しかし宇宙人が出した、
奇妙なゼリーに似た餌は物凄く美味しかったし、
この檻も慣れると快適だ。
最初憎たらしくて気持ち悪かった宇宙人も、
段々良い奴に思えて来たし。
奴に仕込まれる芸も、
やりがいがあって楽しかった。
そんなこんなで百年も飼われていたが、
満ち足りた生活である。
「でもボナンザ星の異星生物愛護団体が、
地球人を飼うのは虐待と抗議して来てね、
なので君を地球に帰す事にした。」
久しぶりに降り立った地球、
しかし文明はとっくに滅びて、
俺が中学生の頃とは全く違う惑星の様に様変わりしていたのだ。
「君も檻の中で死ぬより、故郷で死んだ方が幸せだろう。
それじゃあ達者でな~」
俺を置いて飛び去るUFOに思わず叫んだ。
「まってくれ!
もう地球では暮らせない!
地球なんかで死にたくないんだ!!」
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