人間失格

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人間失格

文豪の堕災治の退廃的な作風は多くの読者の心を掴んだが、 それだけにプレッシャーはきつい。 「あ~もう死んじゃおっかな~」 「先生やめて下さい! 皆先生の新作を楽しみにしてるんですよ!?」 編集者がいつもの如く止めに入る、 そう実は彼は本当に死ぬ気はなく、 こうやって編集者に必死に止めてもらうのが好きなのだ。 「いやあどうもスランプだし、毒でも飲もうかな~」 「先生!毒は作風だけにして下さい!」 こんな事を繰り返し、 ストレス解消した堕災は新作小説を完成させたのだ。 「でも人気出るかわからないし、 川に入水自殺しちゃおっかな~」 「はい!どうぞどうぞ!!」 「ええぇ!?君!何故いつもの様に私の自殺を止めないんだ!?」 「いやあ先生の退廃的な小説なら、 いっそ自殺してくれた方が話題になるじゃないですか。 自動車欲しいけど、 編集の安月給じゃ足りないのでねえ~」 「金のために殺す気か!?」 「いやだなぁ、先生が殺される訳ないじゃないですか。 世間は自殺としか思いませんよ。」 ドンッ! 「うわああああああああ!!」 こうして堕災治は自殺した事になったとさ。
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