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「頂きまぁす!!」
楽しい会話をしながら食事を続ける。わしはこの幸せに恐怖と期待を感じ始めていた。いつか終わりそうな恐怖。毎日同じ様な幸せという在り来たりに、何か新しさを求める期待……
「おとーさぁん。ちゃんと聞いてるー?」
「あぁ、聞いてるよワカミ。そうだ母さん、醤油取ってくれないかぁ?」
「はい、どうぞ」
そういって私に醤油を手渡しする。そして、家族に見えないように、そのまま爪をわしの手に食い込ませる。
「いっ」
「どうしたの父さん?」
「どうしたですか?」
「どこか、具合でも悪いんですかお父さん?」
「いや、少し足が痺れただけじゃ」
ハネはわしを一瞬冷たい目で見て、
「お父さん、足をおくずしになったらどうですか?」
ハネが……わからない。
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