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アティル「さて、言い出しっぺが負けるわけにゃあいかねえよな……」
目の前に狂暴な虎がいるというのに、そんな呑気なことを言っている。……この男に恐怖心はないのだろうか。
虎はアティルを警戒し、むやみに飛び掛かろうとはしない。彼も動こうとしないが、それは警戒心によるものではなく、絶対的強者からの圧倒的な余裕によるものだ。
アティル「来いよ野良猫……。格の違いってのを見せてやるぜ!!」
その言葉が──開戦の合図だった。
虎は唸り声をあげ、アティルへと飛び掛かる。
高く飛び上がり、獲物に飛び掛かるその姿は、まさに野獣。
そこから繰り出される爪は、まさしく必殺の一撃──!!
だが──。
アティル「遅いんだよ!!」
アティルの脚甲が淡く光り、次の瞬間には彼は虎の懐に飛び込んでいた。
アティル「──『猛覇連打』!!」
その言葉が発された一瞬後……虎はなすすべもなく地に落ちた。その身体には、無数の痣。
アティル「突きの速さで俺に敵う奴はいないぜ!!」
そう……。彼が行ったのは、単なる連続の殴打。ただ、その速度が尋常ではなかった。
アティル「さあて、俺が一番乗りかな?」
そんなことを言いつつ、彼は元いた場所へと歩きだした。
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