さようならは再会への始まり

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『直ったのが?』 『もう大丈夫ですよ、でもバッテリーは交換した方がいいから親父さんに言って下さい』 『ありがとな、田んぼの見回り行くのもこれで楽になっがら父ちゃんも喜ぶわ』 『こんな事しかお礼できなくてすみません』 『いやぁ、助かったぁ』 そう言って家に戻る母ちゃんを見やり、最後に所々緑に苔が生えた所や油がにじんでいた所も含めて洗車して納屋の軒下にスクーターを止めた。 出発の準備を終えて玄関前にバイクを押して行った 『お母さん、お世話になりました』 『は~い、行ぐのがぁ?』 『はい。本当に何から何までお世話になりました。』 『いやぁ何もぉ、ちょっと待ってろぉ』 そう言って奥に小走りで戻る母ちゃん タバコに火を着けて5分ほど 『これ持ってげぇ』 見ると新聞に包まれた何か 『いや何もいらないですよ、お礼したりないのに…』 『ええがら持ってげ、大したもんでねえげんど昼げだ』 包みを開けるとおにぎりとビニール袋に入った糠漬けだった 素朴ながらなんとも旨そうな弁当と気持ちが有り難く感激して涙が出た
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