さようならは再会への始まり

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『なんだ泣いでんのがぁ?』 鼻声になりながら包み直して潰れないように荷物の中にしまった 『本当にありがとうございました。親父さんにも宜しく伝えて下さい』 母ちゃんは“うんうん”と首を縦に振りながら俺の右腕をポンポンと叩いた 『じゃあそろそろ行ってみます』 『ん、気つけてな。また来っ』 『ありがとうございます。』 バックミラーには手を振る母ちゃんの姿 右折して母ちゃんに手を振って別れを告げて走り出した もうすぐ村を抜けようとする所で道路脇を数人の老人が草刈りをしているのが目に入り、その中に父ちゃんを見つけて止まった 突然止まった薄汚い格好のバイクの男に怪訝な顔を浮かべる老人達 父ちゃんは気付いて手を止めた ヘルメットを脱いで父ちゃんに近づく 『帰んのがぁ?』 『はい、お世話になりました。スクーターも直りました』 『おぉ、直ったがぁ。まあ気つけて行ぐんだぞぉ、また来ぉ』 『はい、あ、バッテリーは交換して下さい…。 『わがったぁ』 『じゃあ行ってみます。親父さんもお母さんと元気で』 握手をすると母ちゃんと同じように“うんうん”と首を縦に振ってうなずいた
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