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  「あと、細いんだから筋肉つけなきゃ。そんなナヨナヨしてるからエネルギーが余って糖も余るんだ」  そしてションベンで排泄。人間の身体はよくできてる。ダメなのは僕の生活習慣。   「というわけで運動療法の手始めに、自転車の荷台にほんの数キロの軽い負担をかけて下校するってどう?」  二人乗り下校のお誘いだった。  僕がこいで、先輩が荷台に座る。ほんの数キロの軽い負担は、この場合先輩の事だろう。下手くそな例えだった。   「大丈夫だよ。ホントに軽いし、登り坂に差し掛かった君を後ろから応援してくれる機能までついてるし」  登り坂に差し掛かったら降りて歩いてほしいところだ。でも、一緒に下校すること自体は実に素晴らしい提案だと思う。  ただ、先輩の家はやや遠い。そもそも先輩は電車を使って登校しているのだ。二人乗りは少しばかり骨が折れそうだ。    僕は先輩の弁当箱に箸を伸ばしながら言う。 「これで手を打ちましょう」  鮮やかな黄色い卵焼きを一つつまみ上げ、自分の弁当箱に移した。白米のセンターに置いて不恰好な日の丸を作る。  先輩は僕の弁当箱を覗き込んだ。 「あぁ! よりにもよって卵焼きを!」  プチトマトのように目を丸くして先輩は吠えた。  
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