駆け抜ける青春

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人によって様々な青春がある。 己の欲望に忠実だった人は性春だったかも知れないし、うちの父親のように赤髪(せいしゅん)だったり、うちの母親のように改造車(せいしゅん)だったり、十人十色の青春があるのだ。 そんなオレは番長(せいしゅん)を過ごした。 何も高校の頂点に立ち、他校との派閥争いに勤しんでいたわけではない。 スロットの方だ。 番長と言えば、知っている人は知っているであろう、大都技研の名機だ。 周りの人間が、親友や彼女なんかと文字通りの青春を謳歌している最中、オレは番長(しんゆう)や番長(かのじょ)とひと味変わった番長(せいしゅん)を謳歌していたのである。 他人との交遊を深めるよりも、番長に対する知識を深めていたかったし、女性の肌に触れているよりも、メダルに触れている方が安らげた。 周りの人間が、ゲームセンターに行こうぜ。と提案しようものなら、何故パチンコ屋ではないのだ。と疑問に思ったことは1度や2度ではない。 オレが求めたものは、娯楽ではなく、ギャンブルなのだ。 カラオケもしかりである。 オレが聴きたいのは、薄っぺらい言葉を、在り来たりな曲に乗せた歌ではない。 漢の魂が込められた歌だ。 一例として、轟けDREAMや男の花道などがあげられる。 ちなみにDistanceはあまり好まない。 パンチルーレットと相性が悪いからだ。 青7を引いても、操を選ぶと単発に終わることが多い。 話が逸れた。 あくまでオレが聴きたいのは、漢の魂が込められた歌であって、野太い声の男共が歌うさくらんぼではない。 周りの人間がこぞってファッション誌を食い入る様に見ているとき、オレはスロット雑誌を見ていた。 最先端の流行よりも、番長の実践データの方が大事だからだ。 授業中、同じ空間にいる全員が教科書に目を落とし、二次関数やら微分積分の計算をしている最中、各設定の純ハズレの確率やチェリー解除の確率、モードBから天国モードへの移行率なんかを必死に暗記していたのはオレだ。 こんなことをしていれば、テストの点数が悪くなることは明らかである。 どれだけ考えても、数学のテストの解答がわからず 微分積ぶーん⊂二(^ω^)二⊃ と書いて点数を貰えなかったあげく、-10点という屈辱を与えられたことがある。 赤点の危機に晒された。
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