6月下旬

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優哉は意識を集中し、誰かと話し始めた。 勿論誰にも聞かれていない。 『裏切り者をやっと見つけた。すぐに抹殺する。』 優哉は今にも“裏切り者”を抹殺しようと、立って制服の内ポケットに手を入れた。 『待て!まだ早まるな。』話し相手が止めた。 『何故だ!抹殺するのが俺の任務だろ。』 優哉の動きは止まった。 『今殺してはお前の正体がバレるだろ。今バレてはまずいんじゃないか?』 確かに言うとおりだ。周りには生徒が居るし、遥とみなみも居る。ここで裏切り者を殺したら優哉の正体がバレてしまう。 『それに“裏切り者”の正体もバレる可能性がある。一般人にはまだ知られてはいけないだろ。お前たちの事を』 『…だな…ならいつ殺せばいい』 優哉は制服の内ポケットから手を出し座った。 『殺すタイミングはこちらで作る。詳しい事が決まったらまた連絡する。』 『分かった。なるべく早くしてくれよ。』 『分かっている。くれぐれも勝手に殺すなよ。』 『そんなこと分かってる。』 優哉と謎の相手との会話は終わった。 「優哉君!?大丈夫!?」 気付いたら遥が心配そうな顔をして揺さ振っていた。
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