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「それより上げ戸がまた変だぞ。直しといてくれよ」
俺は入り口をあごで指した。
先程の"持ち上げた"と言う表現は、この扉の特性上おかしくはない。
なにしろ普通に押すのではなく、持ち上げる扉だから。
「あと、煙草吸うなら窓開けろ」
「あー上げ戸なぁ…それについて話さなけりゃならんことが」
立夏は煙草の話を無視して、加えた煙草を深く吸い込んだ。
俺は仕方なく窓を開けに向かう。
「よ、憂陽」
俺は窓を少しだけ開けると、すぐ隣でノートPCを弄っている男に声をかけた。
「あ、やぁ、皇季」
麻野 憂陽(あさの ゆうひ)はチラッとこっちを見て微笑むと、すぐにディスプレイに顔を戻した。
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