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「どうする?探すか?隠したっつー鍵を」
立夏が新しい煙草に火をつけて言った。
憂陽は再びディスプレイに顔を落とした。
「その前に、この紙袋の中はなんなんだ?」
「見りゃ分かるよ」
おそるおそる持ち上げてみる。
重さはそこまでない。
俺は思い切って手を突っ込んで、中のモノを取り出してみた。
「箱…だけ?」
そこに入っていたのは、見るからに頑丈そうな箱だった。
サイズは手のひら大で、同じモノが3つ。
そして、鍵穴。
「なにしても開かない。憂陽の技術でも無理だった」
「必要な道具が揃ってなかっただけさ」
憂陽が少し機嫌を損ねたようだ。
立夏は箱を一つ持ち上げると、コンクリートの壁に向けて力任せに投げつけた。
「やめろよ!壊れるだろ!」
が、箱は鈍い音をあげただけで無傷、むしろコンクリートに傷がついてしまった。
「この通り。一体なにでできてんだか」
立夏はやれやれといった様子で、再び箱を袋に戻した。
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