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何週間かが過ぎ、いつものように病院に行った。
そこにはいつものお母さんはいなかった。
寝ている。
母方の親戚が集まっていた。
『お母さん、これから手術だよ』
親戚のおばさんが言った。
手術って何?
無口なオレは何もわからないまま手術室に運ばれていくお母さんを見送り、何もわからないまま無邪気に弟と病院の外で遊んでいた。
どれくらいの時間が過ぎただろうか…。
おばさんが呼びに来た。
誰もいない病室で待っていると、お母さんがもどってきた。
目を閉じていて、手術室に入る前と何の変わりもない。
おばさんがオレに
『お母さんに声かけてあげて』
…。
無口なオレは何が起こったのかもわからずに何も言えなかった。
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