胡蝶蘭

家族との別れ

オレと弟は仲が悪い。
普通は兄弟仲が悪いというと、言い合いや殴り合いのケンカをする程度だろう。

オレと弟は違った。

一言も話さない…。

それでも一緒に生活しているわけだから、話さなければならない時もあるはずだ。

それでも一言も話さなかった。

いつから話さなくなったのか、覚えていない。
自然に話すことができなくなっていた。
きっと、些細なケンカから無視を始めたのだろう。
それから意地の張り合いでこうなってしまった。

お母さんが家にいないということがきっかけになり、仲が悪かった兄弟が力を合わせて生活しているうちに仲良くなる…

そんなのただの理想にすぎない。

『たった二人の兄弟なんだから』

親のそんな言葉は反抗期のオレにはどうでもよかった。

それにしても弟の負けず嫌いなところ…

オレにそっくりだな。