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おばぁちゃんが亡くなる前の夜、お父さんは仕事が終わってからおばぁちゃんに会いに行くつもりだったらしい。
だがお母さんは、仕事で疲れているお父さんを心配して止めた。
おばぁちゃんの葬儀のあとお母さんから聞いたことだった。
虫の知らせ。
いつもなら、まっすぐ帰ってくるお父さんがその日に限って。
もし病院に行っていたら…。
だからお母さんはおばぁちゃんに
『一人にしてごめんね』
って。
お父さんの目に涙はなかった。
おばぁちゃんが火葬場で灰になる時お母さんは
「あの中に入りたくない…。あの中に入りたくない…。」
ボイラーの異様な音が鳴り響く中、小さな声で2度繰り返した。
その言葉を聞きとれたのは、オレだけだった…。
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