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「うぅ……だから、嫌だって~」
湊がこたつからのそのそと顔を出す。
「ほら、そんなこと言わずに行くわよ!」
リビングまでやって来た三人のうち、一番活発そうな少女が湊を睨みつける。
「霧島さん、だからボクは女装なんてやりたくないんだって~」
霧島玲。それがこの活発そうな少女の名前。
「そんなこと私たちには関係ないわ! ほら、翠も何か言ってよ!」
沢崎翠----大和撫子風の少女は笑顔のまま、頷き、
「そうですね~。やはり、今日は湊くんのお部屋の探索をしませんか?」
悪魔だ。思春期の少年の部屋に一体、何があるのか分かっちゃいない。
「……………………くっくっくっ。こっちも賛成」
「ちょ、水無瀬さんまで!」
妖しげな少女、水無瀬空までもが賛成の意を示す。
ちなみに、空は自分のことを『こっち』、相手のことを『そっち』と表す。
「そうね。じゃあ、2階に行くわよ」
玲が階段を上り、湊の部屋のある二階に行こうとする。それに従い、翠、空もついて行った。
「そ、そんなあ」
そして今だ、湊はこたつに入ったままだった。
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