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「頭ではわかっててんけど……今日もちぃに会われへんのかって思ったら、真っ直ぐ家に帰んのが億劫になって……。
そんな時、同僚に合コン誘われて……。
それで……酔った勢いもあって……寂しさ紛らわせようとして、つい……」
(……………つい!?)
千波の頭にカーッと血が上った。
思わず口元に皮肉な笑みが浮かぶ。
「………つまり、寂しい思いをさせた私が悪い…ってこと?」
「………ち、違う、そうやない」
「じゃあ、倒れたおばあちゃんが悪いん!?」
叫んだ後、千波は力任せに良平の頬を平手打ちしていた。
そのまま良平の体を突き飛ばす。
「あんたは卑怯や! 最低や! ただ単に自分の意志が弱いのを、人のせいにして……男らしくないわ!」
あまりの剣幕に、良平は気圧されたように呆然と千波の顔を見上げていた。
一通り叫んでも、千波の怒りは収まるはずもない。
もっともっと責めて詰ってやりたいのに、興奮状態に陥って口から言葉が出てこなかった。
しばし放心状態だった良平は、我に返ったように身を起こした。
そのままガバッと畳に額を付けて土下座する。
「ほんまにごめん、ちぃ!俺にはちぃだけなんや!……今日のことは魔がさしただけで、……もう二度とこんなことせーへんから!」
「……………」
「許してくれるんやったら、どんなことしてでも償うから!………だから、別れんといてくれ!」
あまりにも身勝手な良平の言葉に、千波の怒りが頂点に達した。
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