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殺人嗜好
人を殺すのは自分を殺すためだった。
過ちを起こした自分。
考えようとする自分。
精神異常となる自分。
想像してしまう自分。
全て嘘に感じる自分。
生前の俺の目的は
俺自身を忘却すること。
俺自身を殺害すること。
つまり
俺という人格の消去を望んだのだ。
だが、今は、殺人ということがウレシい。
殺人自体が俺の生活の血と肉に変わった。
俺の過程は目的へとすり替わった。
だから、俺の理由はより多くの殺人。
だが、これで潮時だな。
もう、俺は俺としては生まれ変われない。
――捕獲された殺人鬼――
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