殺人嗜好

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  ◇  ◇  ◇ (《A》) 残念ながら、俺には才能があった。 自慢じゃない。 自慢というよりも、あれだ。病院に入院した経験を話すのと同じことだ。 つまり、自身が不幸であればあるほど、普通でなければないほど、それが武勇伝になるのと同じ。 例外はそれが死に直結する場合だ。が、俺の場合、それは死に直結しない。 だから、これは武勇伝。 ただ、殺すということに魅力を感じた俺の殺人話。 ……なに? ツマらなそうな顔しやがって。 聞いてくれよ~。どうせ、最期なんだから。 ……うん? 聞かないわけじゃない……ってアンタ無表情だから。分かりにくいんだよ。 ふーん、アンタって本当にバケモノなんだね。 ハハハ、怒ったふりしなくていいから。 俺、分かるんだよ。エネルギーの波。 感情に使うエネルギーゼロなんて、アンタ本当に……。 あ? 話すなら話せ? ハイハイ、分かりましたよ。 俺が話したい話ってのは遠い昔の話でね。  
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