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すずかは苺の飴を選んだ。本当は学校にこういったものを持ち込んではいけない。二人だけの秘密だ。
「おいしいね、この飴」
「そうね、悪くないわね」
私が選んだのはレモンの飴。すっぱくて、けれどそれが美味しいところでもある。
「日誌、終わるまで待ってるね」
「うん。早く終わらせるから」
「頑張って」
ガッツポーズをつくるすずか。
私の抱いた想いも、すずかは分かってくれているのだろうか。
ありがとう、なんて口にはできないから、せめて心の中で――。
私は小さく息をついて、それから、鉛筆を握った。
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