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「エゴイスト達よ、私は左手を喰らう」
自堕落な者々に、奴は告げた。的を射ている。この世を痛烈に風刺した一言。
「馬鹿だな。左利きを抹殺している時点でお前もそのエゴイスト、いや、それ以下のゴミさ」
つまりは、利き腕じゃない方を食って、自給自足をしろという先方の意見は今まさに、左利きの存在を顧みない、エゴイズムの塊となった。
「いや、そもそもさぁ、本当にエゴイスト抹殺イズム掲げてんなら、テメェ自分で自分の舌を喰えよ」
別の者はそう批判した。
そうすれば自給自足所じゃないから、頓知を利かせた彼の「批判」には何故か「大衆」が「納得」し「歓喜で溢れ返った」。
ほらそうさ。
この批判は彼を社会的に殺した。
正義感に溢れ、この世を厭んだ彼は自分の舌を噛みきった。
エゴイストになりたくないから噛みきったのか、その批判に傷心して自らの命を絶ったのか。
皮肉なことに、どっちでも良いんだ。
そうさ。
いつだって、正しいことを言った奴が死――――
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