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Aが言うには、 「蚊は刺される前に食べてしまえばいいのだ」 ということだった。 私はAの言っている意味がよくわからなかったので、 詳しく聞いてみると、 Aの家では先祖代々、 蚊を食べる風習があるのだそうだ。 夏になると家族揃って庭に出て、 口を開けて歩き回り、 誰が一番多く蚊を食べられたかを競い合うというのが、 恒例の行事だったという。 Aの家ではこの風習をとても大切にしていて、 例えば結婚相手を選ぶ時も、 蚊を食べられる人かどうかが、 一番の条件なのだという。 現在のAの奥さんは、 最初にAからその風習を聞いて相当驚いたそうだが、 たまたまその奥さんの家では、 蚊は食べないが、 ハエを食べるという風習があったらしく、 蚊も挑戦してみたら、 食べられたということで結婚したのだという。 その蚊とハエの風習についてさらに詳しく聞いてみたが、 とてもここでは書けないことばかりだったので、 割愛する。
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