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『全ちょん助け 』
朝一番。
耳元で鳴り響くケータイ着信音に、バイトの依頼かと思って開いてみれば、何コレ。拉致でもされたの?
つーか誰だよ『全ちょん』って。
差出人不明のこのメール、だが思い当たる人物は一人しかいなかった。
全ちゃんなんて呼んでくる奴は、一人しか存在しないからだ。
まぁ、おもいっきしタイプミスをしている訳だが…。
「またなんかの悪ふざけか。」
パタンとケータイを畳んで枕元に放り、再び布団に潜り込む。
でも待てよ、これが本当に切羽詰まった状況で、生命の危機に晒されてるとしたら…。
まァ、アイツに限ってそんなことはないか。
認めたくはないが、俺と互角、いや、それ以上の実力を持った野郎だ。
心配いらんだろう。
そう判断し、バイトの時間までもうひと眠りしようと瞳を閉じる。
―…が、一度考え出すと止まらないもので、もやもやと居心地悪く何度も寝返りをうち、仕舞いにはイライラと布団を跳ね除けていた。
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