いちご牛乳はキスの味

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「……っは、…ハァ……、ハァ……」 やっと口付けを解いてもらえたのだが、銀糸を引きながら離れる唇をぼんやり見つめたまま、視界が霞んで碌に動けない。 「―…全蔵?」 しばし反応もなく、ただボーっと見つめ返してくる全蔵に、頭に疑問符を浮かべながら銀時が尋ねる。 それでも全蔵は乱れた呼吸を落ち着かせようと、肩を上下に揺らすだけで、焦点の合わない瞳を向けてくるだけだった。 「銀さんの、もっと欲しくなっちゃった?」 「ヒッ……!!!!!」 ニィっと口元を歪め、耳元で低く囁かれた言葉に、首筋を舐め上げるザラりとした舌の感触に、ゾクリと背筋が震え、一気に現実に引き戻される。 「や、ヤメロ……馬鹿野郎っ!!」 耳まで真っ赤に染めて、押さえ付けられて身動きの取れない身体をうち震わせる可愛い野良猫。 最後まで抱いてしまいたい。 首輪を付けて、枷をはめ、抵抗の利かない身体を揺さ振り上げて、滅茶苦茶にしてやりたい。 それで全てを失ってしまっても―――そんなドロドロとした黒い欲望を押し留める理性。 本当に失ってしまったら…。 その時は、本格的に手足をもいででも、薬漬けにしてでも、手段を選ばず傍に置いておけばいいだけの話……。 だが、今はその必要はない。 銀時は、純粋無垢で真っ白な全蔵に気付かれない様に、ドロドロとどす黒く真っ黒に染まった感情を、フッ―…と遠のく意識と共にそっと胸の奥深くに押し込めた。
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