プロローグ

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「…なんだ、小僧。俺等に喧嘩売る気か?」  ややあって、リーダー格であろう強面の俺が一歩だけ歩み出た。 「売る気じゃないなら声かけねえよ。それより、命が惜しかったらその子離しな」  一斉に睨みつけてくる誘拐犯達に臆することなく、青年は大剣に手をかけたまま話す。 誘拐犯達は10人ほど居る。1対10の状況は、傍目には青年が圧倒的に不利だ。 だが、青年はそんな状況にも怯んでいない。それどころか、余裕綽々の体だ。 「…おい、このガキ片付けろ」  リーダー格の男は、部下に命令した。 その言葉に忠実に従う部下達は、各々の武器を手に取り青年に対峙する。 だが、それでも青年の様子は変わらない。 それどころか、 「そんな数じゃあ、俺がイジメてるみたいになるぜ?」 と、挑発する始末だ。 「生意気なガキだ…やっちまえ」  青年の挑発に苛立ったリーダー格の男は、声を荒げながら部下に命令した。 ところが、部下達は武器を手に取ったまま動かない。 それどころか、男達は震え立ち竦んでいた。 「おい、てめえら!何やって」 「そこまでだ、野盗共」  突然、場の空気を震わすほどの鋭い一言が響き渡る。 背後からした声に気づいた青年は、後を振り返った。 そこに居たのは、絢爛な鎧に身を包んだ騎士団の姿があった。
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