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「よくも姫を拐かしてくれたな。その命、捨てるつもりと受け取った」
騎士団の先頭に居る、他の騎士よりも質素な鎧を着た騎士が、腰に携えた剣を抜き放ちながら言う。
「きゅ、宮廷守護騎士団…!しかもツォーネだと!?」
騎士団の出現で明らかに動揺する誘拐犯達。
リーダー格の男が、騎士団を引き連れる隊長であろう騎士の名前を呟く。
その間にも、騎士団は誘拐犯達を瞬く間に包囲していく。
逃げ道を失った誘拐犯達は、密集し小さく固まっていた。だが。
「くそっ、そこをどけろ!さもねえとお前等の大切な姫様がどうなってもいいのか!?」
「っ!」
リーダー格の男は部下が抱えていた少女の顔にナイフを突き付けた。
少女を盾に取られた騎士達は、金縛りをかけられたように動けなくなった。
「くっ…この外道が…!」
「なんとでも言いな、俺達にとっちゃあ褒め言葉なんだよ!」
少女は睡眠薬を嗅がされたのだろう、規則正しい寝息を立てている。
「さて、全員武器を捨てて道を開けて貰おうか?」
少女に尚もナイフを突き付け要求するリーダー格の男。
それを見せつけられ動けない騎士達。
そんな中、一人だけ気にすることなく動く者が居た。
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