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「…あの…無視しないでください…」
ふと、隊長の傍らに居た少女が自己主張していた。
「も、申し訳ありません姫様!」
「ううん、気にしてないよ…」
そんな和やかな雰囲気を見て安心した青年は、二人にきびすを返して歩き始めた。
「…もう行くのか?」
「ああ。早いとこ寝床を確保しときたいしな」
「…また、会えますよね…」
笑顔を見せながら言う青年に、少女は名残惜しそうな表情で見つめた。
それに対して、青年は笑顔のまま少女の頭を軽く撫でた。
隊長が何か言いだそうとしたが、青年は気にせずまた歩き始めた。
「そうだ、一応名乗っておくぜ。俺はアルフォート、流れの傭兵アルフォートだ」
「アルフォート…私はツォーネ・ラディンだ」
「…私はイルネス・イマ・ティア・ベルカです」
互いに名前を交わし合い、青年は国境を目指し歩き出した。
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